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『危険と管理』第30号目次/序文

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『危険と管理』第30号目次/序文

第30号『リーガル・リスクマネジメント』 1999年3月

目次

はしがき 亀井 利明

●論文

  • 「リーガル・リスクマネジメントとは何か」 吉川 吉衛
  • 「生命保険約款における裁判管轄権」川崎和治
  • 「セクシュアル・ハラスメントに対する使用者責任」大畑浩志
  • 「セクシュアル・ハラスメントと企業のあり方」竹本恒雄
  • 「相互会社における社員代表者訴訟の意義」姫田裕子
  • 「リスク・マネジメント・プロセスとキャプティブ」石名坂邦昭
  • 「リスク処理手段としての「リスクの相殺」の現代的意義」森幸弘
  • 「リスク・危機管理カウンセリングの意義」亀井利明
  • 「NPOマネジメントに於けるリスク発見」江尻行男
  • 「防災コミュニティの可能性に関する実証研究」奈良由美子
  • 「危機の構造」伊東義高
  • 「生活リスクにかかる主観的評価と保険価格」長沼建一郎
  • 「中小企業の人材育成とリスクマネジメント」関本蘭子
  • 「LE RISQUE PERCU ET L’IMPLICATION DURABLE MESUREE AVEC L’ECHELLE PIA」 亀井 克之

はしがき

日本リスクマネジメント学会 理事長 亀井 利明

日本リスクマネジメント学会の活動は学会創設21年目に入った。学会創設時の昭和53年(1978年)と現在とでは、われわれが研究の対象としているリスクや危機の実態がすっかり変化してしまった。

現在のリスクや危機はその源泉がいちじるしく多様化、多極化、多発化するとともに国際化、情報化、巨額化している。それとともに現在ではリスクは連鎖化し、複合化し、一つのリスクが他のリスクを産み、社会的、経済的、法律的、文化的な生活局面のいずれを取ってもリスクに満ち満ちている。

そのため、われわれが関与する企業活動や家庭生活は無数のリスクにさらされ、それに対処するための克服策や対応策を事前に用意しなければ完全にサバイバルができなくなってしまった。したがって昨今ではリスクマネジメントや危機管理は単なる常識用語や他人事ではすまされなくなっている。

リスクマネジメントや危機管理を実施するためには、それなりの学習を必要とするが、アウトソーシングとしての危機管理コンサルティングを利用することもできる。しかし、リスクの処理、克服に関する選択的な意思決定や決断についての不安、悩み、危機管理の失敗によって生じる心の危機についてはコンサルティングでは対応できず、カウンセリングが必要となる。

かくて、昨今のリスクマネジメントや危機管理はコンサルティングとカウンセリングの双方を必要とするようになった。これはきびしさを増した昨今の社会情勢から来る心の危機、不安の深刻化に対処するための時代の要請とでもいうべきであろう。そのため、当学会は、リスク・危機管理カウンセラー(RCC)の制度(略称、危機管理カウンセラー)を導入した。

ところで、住友生命が募集した「1998年の世相を反映した創作四字熟語」入選作が大阪新聞で発表されており、そこからユーモラスで興味あるものを7つばかり拾ってみると以下のとおりである。

船客万来、②職無失悶、③慎重貸渋、④利子粉塵、⑤倒行巨費、⑥砒素悶着、⑦感染犯罪となる。

①は危険充満の時代を表徴するかの如く、タイタニック号の映画化によって「千客万来」であったことを意味し、②は不況で職が得られなかったり、失ったりして悶々と悩むことであり、③は貸し渋りを意味し、④は預金利子はほこり程度であることを意味し、⑤は倒産金融機関への巨額の公的資金の投入を意味し、⑥は砒素をめぐってゴタゴタすることであり、⑦は毒入り事件など同じような犯罪が次々と広がることを意味している。これらは世相を鋭くえぐっているとともに、リスクそのものを反映している。われわれは次なるリスクに備えて理論武装を怠ってはならない。

当学会の会報、『危険と管理』は30号を数え、RM双書としては18集を刊行することとなり、表題を「リーガル・リスクマネジメント」とした。これは1998年9月に白鴎大学で開催された全国大会での統一論題のテーマに基づくものである。会員諸氏には本誌の学習をお願いしたい。

1999年1月10日

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