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『危険と管理』第26号・RM双書(Jarms Report) No.14
『規制緩和とリスクマネジメント』
1997年1月発行
序文
編集担当者:理事長 亀井 利明
日本リスクマネジメント学会の第18回全国大会は平成8年9月28日、29日の両日、愛知学泉大学で開催され、第1統一論題として「規制緩和とリスクマネジメント」、第2統一論題として「保険業法の改正とリスクマネジメントのあり方」がとりあげられた。
どちらのテーマも現在のような政府の規制は行き過ぎであり、自由な経済活動や経営行動を阻害し、各種のリスクを創設しているという認識の下に、各種の法律を改正して規制を緩和すべきであるとの考えの下に設定されている。
問題は規制緩和のやり方やその程度・範囲いかんで、かえってリスクを増幅し、リスクマネジメントを複雑なものとしてしまう。規制緩和が企業の成長につながるとは限らないが、仮に企業間競争に打ち勝って、企業成長に成功しても、成長リスクの克服がむづかしい問題となる。
このようにリスクマネジメントは、政治的、経済的、社会的な環境変化のリスクに直結している。しかしいまだに保険の上手な利用の仕方や単なる防災の範囲にとどまる風潮の遅れた人物が存在する。しかし、日本で唯一のRMの学術団体としてのわれわれが目指すものは、「保険の上手なつけ方」とか、「小手先の防災テクニック」とか、「20年以上も前のリスク概念論やリスク恐怖論を前提とした常識論的・評論家的RM論」であってはならない。
われわれが求めているのは、「外国の理論や実務の追随」ではなく、「我が国の実状に合致した独自のリスク克服の科学」であり、「リスクを取り込んだ単なるサバイバル理論から成長理論」へと脱皮することである。
会報第26号はRM双書第14集として発行され、その双書名を「規制緩和とリスクマネジメント」としたのは第18回全国大会の統一論題に基づくものである。本双書には大会での報告以外に、部会やRMフォーラムでの報告も収録した。そのため予定の枚数を超過し、予算オーバーとなってしまった。学会活動とはそんなもので、常に経済的リスクの克服が必要となる。これも一種のリスクマネジメントであろうか。
1997年1月10日
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